胃アニサキス症
アニサキス(胃アニサキス症)は、生もしくは加熱や冷凍が不十分な魚介類を食べた際に生きたままのアニサキスという寄生虫が体内に入ることが原因で起こるものです。アニサキスの幼虫は長さ2~3cm程度、幅は0.5~1mm程度の半透明な白色で少し太めの糸のような形をしています。主に、サバ、イワシ、アジ、サンマなどの魚介類に寄生しており、寄生していた魚介類が死亡すると、内臓から筋肉の方に移動するという習性があります。
日本人は魚介類の生食を食習慣に持っているため、比較的遭遇頻度の高い食中毒の一つです。国内の食中毒症例の約40%はアニサキスが原因であったとも報告されています。アニサキスは季節を問わず発生しますので、ご注意ください。
典型的には、魚介類を食べてから数時間~十数時間が経った後に、激しいみぞおち付近の痛み(心窩部痛)で発症します。ご自分でアニサキス症かなと思ったら、なるべく早めに医師の診察を受けるようにしてください。なお、アニサキスは人間の体内では生息できないため、症状は数日程度で収まることが多いです。
胃アニサキス症の検査と治療
内視鏡検査
エピソードからアニサキスが疑われたら、緊急で胃カメラ検査を行い、胃内にアニサキスがいるかどうかを調べます。もしアニサキスが発見されたら、その場でアニサキスをつまんで取り除く治療を行います。アニサキスを除去した後はすぐに痛みは引いてきます。
アニサキス症を予防するために
アニサキスは、寄生している魚介類の鮮度が落ちるにつれて、内臓から筋肉に移動する習性があります。そのため、生の魚介類をお店で購入した際は、なるべく鮮度が落ちないように保冷した状態を維持することが大切です。生で食べるときには直接、目視で確認してから召し上がるとよいでしょう。なお、魚介類の内臓を生で食べることは避けましょう。
鮮度が落ちた魚介類を食べる際は、生食はあきらめ、十分に加熱調理をすることが大切です。目安としては、中心温度60℃以上で1分以上の加熱をしてください。
冷凍された魚介類の場合、‐20℃で24時間以上冷凍されていればアニサキスは死滅します。しかし、家庭の冷凍庫は‐20℃に達していないことも多いため、設定温度をしっかりと確認するようにしてください。