大腸がんとは
大腸内側の粘膜に発生するがんのことです。多くは良性の大腸ポリープが経過中に悪性化することで発症し、稀にポリープがない正常粘膜から直接がんが発症することもあると考えられています。大腸ポリープから大腸がんへ進展していく過程は、年単位でゆっくり変化していくため(稀に急速に進行する例外もあります)、定期検査で早期発見が可能な病気のひとつです。さらに、大腸ポリープや早期の大腸がんであれば、ほとんどのケースは大腸カメラ検査時に内視鏡切除によって治療することが可能です。一般的に、大腸ポリープや大腸がんは自覚症状がないことが多いため、症状がないからと言って、大腸ポリープや大腸がんがないとは決して言いきれません。大腸ポリープや大腸がんを発見し、かつ治療できる唯一の手段は大腸内視鏡検査、いわゆる大腸カメラ検査だけです。
日本における年間のがん罹患者数は、がん種別では大腸がんが最も多く、男女別では、男性は前立腺がんの次に多く、女性は乳がんの次に多くなっています。40歳以上は、加齢とともに大腸がんになりやすくなることが分かっています。男性の11人に1人、女性の13人に1人が、一生のうちに一度は大腸がんにかかるという統計結果も報告されています。
したがって、大腸がんに対する最も効果的な対策は、定期的に大腸カメラ検査を受けておくこと、大腸ポリープや早期大腸がんは見つかり次第、内視鏡治療を受けておくことだと思います。大腸がんは早期発見・早期治療が大切です。
大腸がんの原因
大腸がんができる背景として、食事の欧米化(高カロリー食・高脂肪食・高蛋白食、野菜不足)や、運動不足、肥満、喫煙習慣などの生活習慣が関与していると言われていますが、そうした生活習慣と無縁な方でも大腸ポリープや大腸がんが見つかることはあります。遺伝については、両親のいずれかが大腸がんだった場合、必ず子に遺伝するわけではありませんので、一般的にはいわゆる遺伝病ではありません(稀に例外もあります)。ただし、家族・親戚に大腸がんの方がいる場合は、大腸がんに将来かかる確率がやや高くなると言われています。また、40歳以上で年を経るごとに大腸がんにかかる確率が高くなっていきますので、加齢は重要な大腸がん発症の要素のひとつです。
大腸がんの症状
早期の段階では自覚症状に乏しいことが多いですが、血便は大腸がんが見つかるきっかけになることがよくあります(全例に出現するわけではありません)。進行がんでも自覚症状に乏しい方が少なくありません。ただし、がんが進行してくると、がんができた部位で便が通過しづらくなるため今まで便秘ではなかったのに便秘傾向になったり、便が細くなったりします。また、大腸閉塞(がんによって大腸の管の中が狭くなり完全に閉塞してしまう)を生じると、突然、頻回の嘔吐や強い腹痛、腹部膨満(腹部全体が大きく膨れてしまう)症状が現れます。体重減少や貧血症状などもみられるようになります。
当院の大腸がん検査
大腸がんの早期発見と早期治療のためには大腸カメラ検査を受けていただく必要があります。大腸カメラ検査のことを正式には”下部消化管内視鏡検査”または”大腸内視鏡検査”といいます。当院では、オリンパス社製の「EVIS X1」という最新の内視鏡検査機器を導入し、日本国内のがん専門病院でも用いられている特殊光観察と拡大ズーム機能により詳細な観察を行う手法を採用しており、できる限り早期にがんを発見できるよう努めています。内視鏡専門医の資格を持ち、早期がんの診断や治療経験の豊富な院長が責任をもって担当しますのでご安心ください。患者さんのお身体を最優先に考えた検査と治療を行っています。
しかし、大腸カメラ検査と言われると何となく抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。理由としては主に2つあると思います。
1つ目は検査用の下剤を飲むのが苦手という場合です。対策として、当院では、患者さんの好みや特徴に合わせて2種類の下剤から1つを選択することが可能です。具体的には下剤の量や味、服用方法が異なります。また、便秘傾向の方には数日前から少量の下剤を服用したり、ご希望に応じて、前日に市販の検査食をご利用いだたくことも可能です。
2つ目は、検査時に恥ずかしかったり、緊張したり、痛みが心配な場合です。多くのケースでは検査中に強い痛みが出ることはありませんが、中にはスコープ挿入中におなかの痛みや張りを感じる場合があります。大抵は腹部の癒着があったり、腸管が長かったりするケースです。対策としては、鎮静剤の点滴を行うこと、内視鏡スコープを細いスコープに変更することです。鎮静剤を使用した場合は、緊張がほぐれ、ウトウトしてボーっとした状態となり、おなかの痛みや張りなどの苦痛を感じにくくなります。
このように、できる限りつらくないように配慮し対応することを心がけています。大腸がんに将来なりやすいリスクをお持ちの方は、1年~3年に1回程度の定期的な大腸カメラ検査をお勧めしています。
日帰り大腸ポリープ切除手術
大腸カメラ検査中にポリープを発見した場合は、その場で安全に切除することが可能です。日帰り手術ですので入院する必要はありません。入院のため日程の都合を事前に調整する必要はなく、経済的にも時間的にも負担が小さく済みます。ただし、抗凝固薬や2剤以上の抗血小板薬を服用中の方で休薬できない場合や、ポリープのサイズや形状などによっては、日帰り手術ができないケースもあります。そういった場合には、当院と提携している高度医療機関をご紹介しています。